Eddie Sound について


Eddie Sound

江戸川サウンド(エディーサウンド=Eddie Sound)は、言うまでもないが、日本の東京都の江戸川区のサウンドであり音楽である。
厳密に言えば、江戸川と荒川というふたつの大流に挟まれた風情のある一区にインスピレーションを得たサウンドである。
江戸という名を冠しているだけに、歴史的、伝統的な空気と趣きをもちろん尊重しながらも、当然、現代の空気感、日々変わり移りゆく空気やエネルギーを表現しようと、縁あるアーティストやプロデュース・スタッフが生み出したサウンド、それがこの一枚のCDに凝縮された。

本来、大都市の多くには川があり、そこに住む多彩多様な人々の馴染みの場所になり、四季折々の節の場になり、当然祭りを生み、歌を産し、その川辺独特のリズムを作り出してきた。
夏の川面に映える花火や風と同じく、川に音楽は欠かせないもの。

「大利根月夜」や「真室川音頭」等、日本に限っても、ご当地ソングというより、ご当川ソングを挙げていけば、古今限りなく、世界に目を向ければ、ロンドンのテムズ川、パリのセーヌ川、ニューヨークのイースト川やハーレム川等、都市の源となった名流が、どれだけ多くの音楽を生んできたか、とても数えきれない。
パリの空の下、セーヌ川は流れ、シャンソンを生み、
東京の空の下、江戸川は流れ、エディーサウンドを、
今昔、生んでいるのである。

「Eddie(エディー)、そりゃ何だ?」という方もいらっしゃるだろう。
かつて、日本のロマンチック歌謡に一脈も二脈も通じるしなやかなソウル・ミュージックを作り出したフィラデルフィア(Philadelphia)のサウンドを、愛着と親しみをこめて「Phille(フィリー)」と呼んだ人達への敬意もこめたニックネームである。(※その中には、大リーグPhillesのプロ野球選手も多く、命名者もいたというのが通説)
フィリーの側には、やはりデラウェア川が流れ、
エディーの側には、江戸川が流れる・・・川は音楽を生む。

さて、その「Eddie Sound(エディーサウンド)」、先ずは、紀の川や熊野川等を有する和歌山の魚住弘樹の代表曲「マイヤコンディアス」が人の縁で泳ぎ上がり、江戸川の島ゆかりの艶やかな演歌と結びついた「江戸川令和音頭」で幕を開け、川が大海に行きつくようにエスニックなロック・フュージョンやアーシーなブルース&ジャズ・ロックにつながっていく。

大流の川沿いを歩いたり踊りに行ったりする内に、風景が変わり、胸の内が彷徨い、様々な音が行き来する図は、川沿いに様々な人が住み、あるいは訪れ、様々な物語を生んできた歴史そのもののような気がする。

音楽ファンとして、敢えて細かく言わせてもらえば、水の流れとネオンサインによく似合うエレクトロニックな音と、躍動するラテンやロック・ン・ソウルなビートが「Eddie Sound(エディーサウンド)」の最大の特色だろうか?

そこには小うるさい音楽の垣根やジャンル等の制約がまったく無い。
川の流れと時のうつろいのように、艶やかな音色とメロディー、うねるビート、江戸川の空気である。
大衆の自然な音楽の原点を久しぶりに聴く思いだ。

(令和元年:2019年7月)
大伴良則
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